第100回
――連載100回の約10年間の真珠業界の変遷は大きなものがあったと思いますが…。
先ず図1をご覧ください。1995年から2005年にかけて真珠業界で大異変が起きていたことを端的に示しているのがこの図です。生産量の大激増という異変です。
1907年(明治40年)の真珠養殖法の発明以来、日本は養殖真珠をほぼ独占してきました。その体制が一気に崩れ始めたのがこの10年です。いろいろな貝を使って様々な国で真珠がほぼ無制限に作られているグローバル化時代が始まったのです。
独占時代に培われてきた価格、品質、商習慣等々の一切のルールが崩れ、一種の無秩序・混乱が真珠業界を覆っているのが今日の姿です。連載は1999年11月1日号から始まっていますから、大異変の最中でスタートしたということになります。こういう時こそ事態を冷静に見て、混乱の先行きを考えるべきです。それには何を置いてもやるべきことは「真珠に聞く」ということではないでしょうか。この連載執筆の動機です。