虹とオーロラ

第89回

天空に現れる色彩の二大饗宴である虹とオーロラは対極の関係にあります。虹は青空を背景にお馴染みの七色の架け橋です。原理は大気中の水滴に太陽の光が屈折して起こる現象です。一方オーロラは、太陽風、すなわち太陽が放つ電子や荷電粒子が、地球上空の酸素や窒素に衝突して起こす発光現象です。極地の、酷寒の冬の夜、天空に突然現れる巨大な光のカーテンは刻々と色を変え、突然消えていくと言われています。 真珠に現れる色彩の饗宴は光の干渉によって起こる現象です。赤から青までの七色が出ることから“虹色”などと呼ばれていますが、私はこの現象はオーロラに近いと思っています。特に真珠の下半球に出る反射の干渉色を観察していますと、ひとつとして同じ色模様はありません。中心の赤から黄、緑と変化し縁(ふち)の青で終わるものもあれば、その逆もあるといった具合で、ネックレス全体が刻々と色を変えていくような錯覚に陥るからです。