第85回
真珠の鑑別で、現在最もやっかいなのが着色ゴールドの看破です。ゴールド系白蝶真珠の人気に乗じて着色が出回っていますが、2つの点でやっかいなのです。ひとつは無孔のまま着色されているということです。かつてのように孔をあけた後に着色されていれば孔口を観察してその痕跡を見出すことが出来たのですが…。いまひとつは素材そのものがクリーム、イエロー系の白蝶真珠ですので、本物の特性を持っているということです。
最近私たちはある種の偶然で鑑別法を見出しました。紫外線を当ててその蛍光から看破する方法です。「…物質中の微量の不純物によってきまる蛍光を示す場合も多い。そのための蛍光の測定は、微量物質の鋭敏な検出法として利用されている」 (岩波理化学辞典より)
もともと黄色い真珠に、黄色い染料を加えてより濃くしているのが着色品なのですが、染料には多くの不純物が混入していますから、それらが鋭敏に蛍光を出すのです。