黄金分割

第69回

初めてこの言葉を聞いたのは、真珠のかたちの中の最高峰である「パーフェクトドロップ」の説明でした。辺の比が1:1.618034になっている長方形の中にすっぽり収まるドロップこそ理想のかたちなのだそうです。そしてこの比率を黄金比とか黄金分割と言い、理想的なプロポーションとして造形の中で使われています。有名なミロのヴィーナス像ではへそから頭でが1に対し、足までが1.68と、へその高さが全身を黄金比に分割しています。 天然真珠を産出することで知られるアワビの貝殻のらせん形も等角らせんと言って、黄金比で成長していきます。真珠の表面を顕微鏡で覗いてみると、カルシウムの結晶の集合が指紋のように見えます。この指紋の渦巻きも等角らせん即ち黄金比で作られているのです。自然は黄金分割を駆使して美の象徴である真珠を作っているのです。