真珠の本質とも言うべき「テリ」が、貝の（厳密には真珠袋の）どのような生理メカニズムによって作られるのか。ここ数年私たちが取り組んでいる重要研究テーマです。 「テリ」の光学的メカニズムが真珠の構造と関連していることはかなり明瞭になってきました。しかしこの分析の場合、海から揚がった、結果として「テリ」の良い、あるいは悪いものを分析対象としていますから、どうしてそれらが出来るのかについては答えることは出来ません。 かくて海の現場でこの答を得るために様々な実験を行っています。 現状は、いろいろなデータが得られるほど「個」と「全体」の亀裂が広がっていくという、生命科学固有の隘路に陥っているところです。 この隘路からどう抜け出すか。いま、真剣に考えています。ひとつ言えることは私たちの頭に巣くう固定観念を捨てることです。