第52回
「天然真珠か養殖真珠か」を巡る論議の歴史は古く、養殖真珠がこの世に出現した20世紀初頭の頃から始まっています。
この論議とは定義付けや鑑別の方法などを指します。
核があれば養殖、無ければ天然といった短絡的論議は今でも根強く存在しています。
「その形成契機に、全く人為的な要因を含まないものを天然、その契機を人為的に与えられるものを養殖」といった形成契機に絞った農水省見解もあります。
さらにはケシを巡る国際会議の論議の中で欧米側が強く主張する、養殖された貝である限りすべて養殖の範疇に入るといった考え方もあります。
しかしこれまで全く論議の対象になっていない事実がひとつだけあります。それは真珠が出現する場所のことです。
天然真珠は貝の外套膜の中でしか発見されていないという事実です。