テリの測定について研究し始めて20年以上がたちました。
ひとつの転機になったのが、10年前から取り組んだテリのメカニズムの解明です。既存のメカニズムの論の欠陥を是正し、現象と理論が完全に合致するところまで漕ぎつけました。その延長線上に測定問題が浮上してきたのです。 真珠の表面に現れる光の干渉色、それを光の反射と透過に分け、球状の上・下半球に、全入射角ごとの同心円状の色模様として現わすことに成功しました。テリが良い程、色模様は多色であり、より鮮やかであり、より明るいのです。この色相、彩度、明度の3次元図を描きだし、それぞれを計数化すれば、テリの良さは一つの測定値として現わされるのです。習熟者の“目”による評価と測定値は合致しました。振り返って思うことは、真珠というこの宝飾品の、美の深さと、それを上回る人間の“目”の鋭さです。