第15回
「すべての貝は外套膜という臓器を持ち、そこで貝殻を作っている」
「真珠を作る貝のみが真珠袋(しんじゅふくろ)という臓器を持ち、そこで真珠を作っている」
この二つの定義は関連を持ちながら、決定的に異なったことを指している。
貝は系統分類学という学問では軟体動物という分類に入る。
この貝類には貝殻を持つという際立った特徴がある。その貝殻を専門に作る臓器が外套膜である。
すべての貝が持つ普遍的な臓器とでも言えるだろう。 この外套膜の破片が何かの拍子で体内に入ってしまったとする。
不思議なことにこの破片は生き続け、養分をもらい成長するのである。やがてそれは袋状の臓器になる。
するとこれまた不思議なことに袋の中に貝殻を作り始める。 この袋の中の貝殻のことを人は真珠と名付けた。
さらに前出の「何かの拍子」を人為的に行うのが真珠養殖法である。